*この記事にはカゲロウの写真が含まれます。
虫が苦手な方はご注意ください。
セルビア北部・ハンガリー国境近くにあるカニジャを流れるティサ川。
ここでは毎年6月中旬になると数百万匹のカゲロウが孵化し、一斉に水辺を舞う。
ティサ川はウクライナから始まり、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアを経てセルビア国内でドナウ川に合流する。
カゲロウは汚染されていない川でしか生息できない。
ティサ川は水がきれいで産卵に適した水温であることから、ヨーロッパ最大規模で貴重なカゲロウの産卵場所とされ、外国からも自然愛好家や専門家などが訪れる。
カゲロウの大群が孵化して水面に出てくる時期は「気温25度以上の日が1週間続いた後」という予兆がある。
途中で雨が降ると気温が低下するため、時期が遅れる。
飛んでいるのは殆どオスのカゲロウ。
カゲロウは幼虫の時期3年間を川底(水中)で過ごし、水中で孵化、水上に出て脱皮をし水面を舞って交尾して死ぬ。
水上に出てから死ぬまでは3時間しかない。
通常、川岸の木や葉に付着して孵化を始める。
が、ボートや人の服、手に付着して脱皮するものも。(座っていたら足の上で脱皮開始など)
もう少しで脱皮!
完了。 触ると柔らかい。
ティサ川のカゲロウは全長8~12センチ、尾が長い「ロングテール メイフライ(Long-tailed mayfly)」という種類でヨーロッパ最大と言われている。
川幅約250メートルほど覆い尽くすカゲロウは、メス(個体が小さく数も少ない)と交尾をするため絶え間なく飛び交う。
力尽きて死んだオス
セルビア語でカゲロウは「ヴォデニ・ツベット=水の花」という意味をもつ。
このカゲロウが川に浮かぶ姿が白いアカシアの花びらに見えることから「ティサの開花」とも呼ばれる。
夕方になるとメスが一斉に川の上流へ移動する。この光景は圧巻である。
これは川の流れに乗り、卵が元の位置に辿り着くように計算しているためである。
産卵に適した場所を見付けると、メスは自身のお腹を水辺に叩きつけ皮膚を破り卵を出す。(通常の産卵ではない)そして生涯を終える。
この時期はカニジャや、少し南のノビベチェイにカゲロウの孵化を見るため地元や観光客 1万人が訪ねる。
死んだオスのカゲロウを集めて釣りをする人。(禁止行為です)
カゲロウが舞う様子や上流へ飛び立つ場面など動画でもご覧ください。