6月22日に新型コロナ検査を受けていたジョコビッチと家族だが、23日にジョコビッチ及びイェレナ夫人が陽性(無症状)であることが発表された。
2人は既に自宅で2週間の自己隔離に入っているという。
– ジョコビッチのコメント – 6月23日
ベオグラードも着いてすぐに検査を受けました。
結果 私と妻は陽性で、子供達は陰性でした。
この1ヶ月間 私たちが行った全てのことは、純粋な気持ちと誠実な意図で行ったことです。
私達のトーナメントで「連帯と思いやり」というメッセージをシェアしたかったのです。
このトーナメントは、東南欧のテニス選手に試合の場を供給・選手たちの収入を補助することによって大変な時を克服しようという意図で計画されました。
助けを必要としている人への慈善活動という発想からで、それに賛同してくれた人達に感謝しています。
残念ながらウイルスは未だに存在しており、私達はウイルスとの共存・対処を学んでいるという現実があります。
その内 この状態が良くなり生活が元通りになることを願っています。
この様な感染が起こってしまい心から申し訳なく思っています。
皆さんの容態が悪化せず、快復されることを願っています。
私は14日間の自己隔離を行い、5日後に再検査を受けます。
ウイルス感染はジョコビッチ主催のアドリア・ツアーで広がった。
現在 多方面から非難を受けているアドリア・ツアーの内容と問題点とは?
アドリア・ツアーとは?
大会前にインタビューに答えるジョルジェ・ジョコビッチ氏
アドリア・ツアー*は、ジョコビッチ及びジョコビッチ財団が中心に開催したチャリティーイベントで、弟のジョルジェ氏(24)がディレクターの一人に選任されるというジョコビッチのジョコビッチによる大会である。
招待選手はズベレフ(ドイツ)、ティエム(オーストリア)、ディミトロブ(ブルガリア)、ツォリッチ(クロアチア)、チョリッチ(クロアチア)、トロイツキ(セルビア)、ジュムル(ボスニア)など。
6月13日~6月末にかけてセルビア-クロアチア-ボスニア・ヘルツェゴビナを周遊*する予定だったが、20日 クロアチアで選手の感染が判明、ツアーは即中止となった。
*アドリアと付く試合は旧ユーゴスラビア間で行われる
*モンテネグロはセルビア・ボスニア人が入国出来ない(感染者が多いという理由)ので開催拒否された
感染が始まったのはいつ?
一番初めに発症したディミトロブ選手(ブルガリア)はベオグラード滞在時から体調不良だったこと、クロアチアの試合に参加していないトロイツキ選手(セルビア)と奥さんが感染していることから、セルビアで試合をしている時から感染が始まった可能性が非常に高い。
感染が確認された選手及び関係者 (6/26更新)
・ディミトロブ選手(ブルガリア)
・チョリッチ選手(クロアチア)
・トロイツキ選手(セルビア)
※ 妊娠中の夫人も陽性(7月出産予定)
・ジョコビッチのフィットネス トレーナー
・ディミトロブのフィットネス トレーナー
・ゴラン・イワニセビッチ(ジョコビッチのトレーナー)
〇 選手と交流して感染したといわれる人
・ 5歳の少年(レストランオーナーの孫)
・ クロアチアの女性ジャーナリスト(大会中チョリッチ選手を取材)
【行動の経緯】
11日 招待選手らとサッカー
13日 ツアー開始
14日 試合終了後にベオグラードのクラブでパーティー(後述)
+ バスケのエキシビジョンに参加(同参加バスケ選手がコロナ陽性に)
23日 ジョコビッチ及び夫人が陽性であることが発表される
今回の問題は下記の5点だ。
1. この時期に行う必要があったのか? 観客への配慮はあったか?
セルビアでの試合前、ジョコビッチはコロナで亡くなった人のために観客に起立を促した
セルビアでは5月5日から緊急事態の段階的解除が始まった。
しかし世界的にテニスのトーナメントが延期されている中、解除から1ヶ月ほどしか経っていないセルビアでスポーツイベントをする必要は本当にあったのか?
また観客席への配慮も問題視されている。
ネットでは「1席ずつ空けていないってどういうこと? ソーシャルディスタンスは? このパンデミックの時に数カ国で開催?一体何を考えてるんだ?!」と非難する声が多い。
2. 醜態を晒したコロナ・パーティー
リンボーダンスを踊るジョコビッチとその前でスカートを揺らして踊る夫人
「コロナ・パーティー」と揶揄されている打ち上げパーティーは、選手や友人らとベオグラードでの試合後に行われた。
クラブは日本や韓国でもクラスターが発生したりと濃厚接触が懸念される場所だが、これに対しても「何て馬鹿なんだ!重い制裁を受けるべき」「ワクチンに否定的だったから、天然抗体を得ることが出来て祝ってるんだよ!」「全員ATPから外すべき」「これで得た金がチャリティ(*)に行くだって?バカ野郎!」など一番厳しい非難が集まっている。
(*) アドリア・ツアーの収益金は小児癌患者に寄付される予定になっている
twitter動画リンク
This was absolutely reckless & every single person involved in this event needs to take responsibility for prioritizing money over the health of thousands of people. This deadly pandemic is not over & I still can’t believe that no precautions were taken. pic.twitter.com/F3XjiFvtt0
— Max Gao (@MaxJGao) June 21, 2020
3. 運営陣の甘さと選手の意識の低さ
ベオグラードでサッカーをするディミトロブ、ジュムル、ジョコビッチ、ズベレフ
ドイツではサッカーの無観客試合を行う際でも、選手のPCR検査を週2回義務付けていた。(偽陰性を無くすため)
今回 アドリア・ツアー運営がドイツのような徹底した検査を行っていたら、ディミトロブの陽性は早い時点で判明していたはずだ。
またセルビア保健省は「ハグ、チークキス(頬と頬を付ける挨拶)、握手を避けること。最低1mのソーシャルディスタンスを取ること」と勧告している。
これはヨーロッパに居る者にとって当たり前のルールだが、各選手はこれを少しでも意識していただろうか。
4. ディミトロブ選手の感染判明後、ジョコビッチだけ特別行動
ザダルで検査を待つ選手。Twitterでは「今頃マスクなんて笑える」とコメントも。
試合中止後のジョコビッチの行動も問題視されている。
ディミトロブの感染が判明した翌日、ジョコビッチを除く殆どの選手と関係者が滞在先のクロアチア・ザダルで検査を受け、22人中3人の陽性が確認された。
ジョコビッチは「自覚症状はない」として、クロアチアでは検査を受けずに夫人と子供達とプライベートジェットでセルビアに帰国。
この上級国民的行動に「症状はなくても感染の可能性があるのに、なぜ早急に皆と一緒に検査をしなかったのか?」と非難する声は多い。
5. 隣国へ感染を広げてしまったこと
クロアチア・ザダル/プライベートジェットで到着したジョコビッチを迎えるバビッチ(クロアチア)テニス協会会長
ブルガリアのディミトロブ選手が第一感染者だったとすると、選手によりブルガリア→セルビア→クロアチアの3か国で感染経路を作ったことになる。
ヨーロッパ諸国は今「近隣国からウイルスが入ってくる」ことを非常に警戒しているが、プライベートジェットに乗ったセレブの入国とあれば警戒が薄くなっていたようだ。
20日 ジョコビッチと歓談するクロアチアのプレンコビッチ首相。クロアチアはこのテニスツアーにコロナ渦で減少した観光客への「安全PR」を期待していたのだが…。
クロアチア・ザダル在住のバスケ選手は「テニス選手は入国時かその前に検査を受けるべきだった。これらのウイルスは外国から入ってくる。感染者の多いセルビアとの国境を早く解放したのも一因」と批判。
また選手達はこの数日間にサッカー、バスケ、子供のテニス指導、レストランやクラブでのパーティー、元選手の家族と面会など大勢の人が集まる所に出席している。
接触のあった子供には既に陽性反応が確認されており、更に拡大が進むことも必至だ。
(選手利用のレストラン・オーナーの孫が新型コロナに感染)
(写真: Jutarnji, MONDO, Novak Djokovic, Zadar, Espreso)