ベオグラードにあるセントラル・ベオグラード墓地はセルビア一の敷地を誇る墓地である。
墓地の前には沢山の花屋が並んでいる。この時期はバラやスイセンなどを買う人が多い。
墓地に供えるのは花だけで、お菓子やお酒を供えることは殆どない。
勿論線香は焚かないが、キャンドルを灯すことがある。
ジプシーも立派な花束を行商している。但しこれらの花束は、お墓に供えられた物を夜中に盗んで来たものが多いらしい。
墓地内はかなり広いので、入り口に地図がある。
元大統領や要人が埋葬されているエリア。
ここには先日8回忌を迎えたジンジッチ元首相のお墓もある。
敷地内は緩い傾斜になっていて入り口から上へのぼって行く。ブロック毎に景色が変わる。
敷地内には第一次世界大戦で活躍した兵士を祭ったモニュメントや、
同じく第一次世界大戦中、オーストリアからセルビアを守ったロシア兵を弔ったモニュメントが建てられている。
ベオグラードには5つの墓地があるが、ここでもお墓の土地(が無い)問題は深刻らしい。
この規模の埋葬型(土葬)の墓地を購入するには約250~350万円掛かる。
一家で土地・墓石を購入して3~4代に渡り同じ場所に入るのが一般的だ。(墓石に墓標を追加)
墓地の入り口付近にある葬儀場では、毎日葬儀が行われている。
埋葬は土葬と火葬に分かれるが、キリスト教徒の多いセルビアでは土葬が多い。
葬儀の際は日本ほどではないが、黒っぽい服装で参列する。
埋葬場所へ運ぶ車。セルビア版霊柩車といったところだろうか。
墓石はオーソドックスなものから、上に銅像が乗っていたり、写真プリントや、ちょっと不思議な頭の像、全身の銅像、モニュメントなどバラエティーに富んでいる。
外の喧騒から隔離されている墓地内を歩いていると、とても気分が良かった。
いつも見るビール瓶の破片や犬の糞、ゴミも無い。
別の意味で心安らぐひと時であった。